おかだのブログ

たくさん本読みます

【継続】武器になる哲学 11認知的不協和【勉強用】

武器になる哲学を読みます。

 

 

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「役に立たない学問の代表」とされがちな哲学は、ビジネスパーソンの強力な武器になる。現役で活躍する経営コンサルだから書けた、「哲学の使い方」がわかる1冊。


【本書で紹介するキーコンセプト】
●第1章 「人」に関するキーコンセプト 「なぜ、この人はこんなことをするのか」を考えるために
・ロゴス・エトス・パトス――論理だけでは人は動かない(アリストテレス
・悪の陳腐さ――悪事は、思考停止した「凡人」によってなされる(ハンナ・アーレント) ほか

●第2章 「組織」に関するキーコンセプト 「なぜ、この組織は変われないのか」を考えるために
・悪魔の代弁者――あえて「難癖を付ける人」の重要性(ジョン・スチュアート・ミル
・解凍=混乱=再凍結――変革は、「慣れ親しんだ過去を終わらせる」ことで始まる(クルト・レヴィン) ほか

●第3章 「社会」に関するキーコンセプト 「いま、なにが起きているのか」を理解するために
アノミー――「働き方改革」の先にある恐ろしい未来(エミール・デュルケーム
・パラノとスキゾ――「どうもヤバそうだ」と思ったらさっさと逃げろ(ジル・ドゥルーズ) ほか

●第4章 「思考」に関するキーコンセプト よくある「思考の落とし穴」に落ちないために
シニフィアンシニフィエ――言葉の豊かさは思考の豊かさに直結する(フェルディナンド・ソシュール
反証可能性――「科学的である」=「正しい」ではない(カール・ポパー) ほか 

 

www.kadokawa.co.jp

 

 

一項目に対する文字数がどんどん増えてきました。

 

 

頑張ります。。。

 

 

【11 認知的不協和】レオン・フィスティンガー

 

ja.wikipedia.org

 

 

日本語の「洗脳」は英語の「Brainwashing」の直訳であり、英語の「Brainwashing」は中国語の「洗腦」の直訳です。

 

 

この用語は、米国の諜報機関であるCIAが、朝鮮戦争の捕虜収容所で行われた思想改造について作成した報告書で初めて紹介され、その後、ジャーナリストのエドワード・ハンターが、中国共産党の洗脳技法についての著書を著したことで広く知られるようになりました。

 

 

朝鮮戦争当時、米国当局は、捕虜となった米国の多くが短期間のうちに共産主義に洗脳されているという事態に困惑していました。

今日では、この時に中国共産党が実施していた洗脳技法がどのようなものであったかが、明らかとなっています。

 

 

誰かの思想・信条やイデオロギーを変えさせようとする場合、私たちは一般的に、反論を強く訴えて説得したり、あるいは拷問をかけたりしなければ難しいのではないか、と考えがちです。

 

 

しかし、中国が実際やったのは、全くそうゆうことではなかったんですね。

彼らは捕虜となった米兵に「共産主義にもいい点はある」という簡単なメモを書かせ、その報酬としてタバコや菓子など、ごくわずかなものを渡していました。たったこれだけのことで、米兵捕虜はパタパタ共産主義に寝返ってしまったのです

 

 

この洗脳手法は、私たちの常識感覚からは大きく外れるように思えますよね。

思想や信条を変えさせるために褒賞を渡すということは、つまり「思想・信条を買い取るためのワイロ」なわけですから、多額の報償でなければ効果がないように思われます。

 

 

ゲーテの戯曲「ファウスト」では、ファウスト博士は、死後の「魂の服従」を条件に、現世における「人生のあらゆる快楽」を得るという契約を悪魔メフィストフェレスと交わします。

 

 

「魂の服従」とはつまり、思想・信条を売り渡すということですから、そのためには「現世のありとあらゆる快楽」くらいの褒賞でないと釣り合わないということでしょう。

 

 

ところが、米兵捕虜は、思想・信条を変えるのに当たって、タバコやお菓子しかもらってない。

これは一体どうゆうことなのでしょうか。

 

 

この不可解なエピソードには認知的不協和理論によって説明することができます。

認知的不協和理論の枠組みに沿って、米兵捕虜の中でどのような心理プロセスが経過したかをなぞってみましょう。

 

 

まず、自分はアメリカで生まれ育ち、共産主義は的だと思っています。

ところが捕虜になってしまい、共産主義を擁護するメモを書いている。

この時、贅沢な褒賞が出ていれば、「贅沢な褒賞のために、仕方なくメモを書いた」ということで、「思想・信条に反するメモを書いた」というストレスは消化されることになります。

 

 

しかし、実際にもらったのはタバコやお菓子などの、些細な褒賞でしかない。

これでは、「思想・信条に反するメモを書いた」というストレスは消化されません。

 

 

ストレスの元は「共産主義は敵である」という信条と「共産主義を擁護するメモを書いた」という行為の間に発生している「不協和」ですから、この不協和を解消するためには、どちらかを変更しなければなりません。

 

 

共産主義を擁護するメモを書いた」というのは事実であって、これは変更できません。

変更できるとすれば、共産主義は敵である」という信条のほうですから、こちらの信条を「共産主義は敵だが、いくつかいい点もある」と変更することで、「行為」と「信条」のあいだで発生している不協和のレベルを下げることができる。

 

 

これが米国捕虜の脳内で起きた洗脳のプロセスです。

ちなみに、レオン・フェスティンガーが認知的不協和の理論をまとめたのは、朝鮮戦争より後のことですから、中国共産党は独自で洗脳手法を編み出したということになります。

その「人間の本性を洞察する力」には驚かされます。

 

 

私たちは「意思が行動を決める」と感じますが、実際の因果関係は逆だ、ということを認知的不協和理論は示唆します。

外部環境の影響によって行動が引き起こされ、そのあとに、発現した行動に合致するように意思は、いわば遡求して形成されます

 

 

つまり、人間は「合理的な生き物」なのではなく、後から「合理化する生き物」なのだ、というのはフェスティンガーの答えです。 

 

 

認知的不協和論につて、フェスティンガーが実際に行った実験は次のようなものでした。退屈でつまらない作業を長時間にわたってさせたあとで、

「実験は終わりですが、今日はアシスタントが休みなので、次の参加者を呼んでください。その際、この実験はとても面白いと伝えてください」と伝えます。

要するに「嘘をつけ」と言われるわけです。

 

 

実際には、次の被験者はサクラで、被験者が言われた通りの嘘をつくかどうかを確認する役に務めます。

最後に、被験者の作業の印象について質問用紙に記入して実験は終わります。

 

 

この時、参加者には二つの条件が設定されます。

第一条件のグループでは、被験者は参加の報酬として20ドルを受け受け取ります。

第二条件のグループでは1ドルしかもらえない。

さて、どのような結果が予想されるか。

 

 

「退屈な作業だった」という認知と「とても面白かった」という嘘は対立しますから、

ここに認知的不協和が生じます。

すでに嘘をついた事実は否定できないので、不協和を軽減するためには「退屈な作業だった」という認知を改変するしかありません。

 

 

この場合、報酬が高額であれば、不協和は小さくなります。

嫌なことがあっても報酬のためにやったということにすればいい。

しかし、報酬が小さい場合、嘘の正当化が難しくなるので、より「退屈な作業だった」という認知を改変する要因は強くなります。

 

 

果たして結果は、フェスティンガーの仮説通り、少額の報酬しかもらわなかった第二グループの方が、より「楽しい作業だった」と答える比率が高かったのです。

 

 

私たちは一般に、何かを人に依頼する時、より高い報酬を払った方が、楽しんでやってもらえるのではないか、と考えがちです。

しかし、フェスティンガーの認知的不協和に関するこの実験の結果を見れば、

そうではない、ということがわかります。

 

 

事実と認知のあいだで発生する不協和を解消させるためには、認知を改める。

これは人間関係などでもよくある話です。

好きでもない男性から、あれこれ厚かましく指示されて手伝っていたところ、

そのうち好きになってしまった、というような話がありますね。

 

 

 

これも認知的不協和のなせるわざと考えられます。

「好きではない」という認知と「あれこれ世話をしている」という事実は不協和を発生させます。

「あれこれ世話をしている」という事実は改変できないのですから、不協和を解消させようとすると、「好きではない」という気持ちを「少しは好意があるかも」と改変してしまった方が楽です。

 

 

かくして、傍若無人にあれこれ命令されて、最初は迷惑そうにしていた女性が、

しばらくすると恋に落ちているということになるわけです。

 

 

周囲から影響を受け、考えが変わり、その結果として行動に変化が生じると私たちは信じています。

人間は主体的存在であり、意識が行動を司っているという自律的人間像です。

しかし、フェスティンガーはこの人間観を覆しました。

社会の圧力が行動を引き起こし、行動を正当化・合理化するために意識や感情を適応させるのが人間だということです。

 

 

【感想】

 

人の考えを変えるために、「認知」と「事実」を使って不協和を起こし、

改変させるという技術は素直にとてもすごいと思いました。

 

 

確かに人の意識は変わりやすく、様々な状況で変化する場合があります。

その変化を巧みに利用し、思想・信条やイデオロギーを変えさせる

もし自分がその技術を使うことができれば大きな武器になりますよね。

 

 

使わないにしても知っているだけで、自分自身を守ることもできそうです。

 

 

きっと私たちが気がつかないだけで、

こういった思想・信条を変化させるものがこの世には溢れているような気がします。

 

 

そういったものから自分を守り、己の持つ思想・信条は変えない生き方をできればいいですね。

 

 

【総括】

人間は周りに影響されやすい

 

 

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